中学受験を考える(2)
私の子供のころ、塾に通っているのは、
「ちょっといいお家の子」でした。
いいお家というのは、見た目にも、上品な洋服を着て、おしゃれな文房具を持ち、一戸建てに住まい、上品なお母さんがいる、というイメージです。
実際に、そういった同級生は、少し離れた街のお嬢さん学校に通うようになり、校内暴力全盛期の荒れた地元の公立中学校の友達とは、疎遠になっていたようです。
とはいえ、物資にあふれ、食うにも物にも何不自由なく育ってきた私たちの世代は、それほど普段の暮らしの中での格差を感じたことはありません。見た目、平均的にみんなが裕福な今の時代のほうが、水面下での格差をヒシヒシと感じるのではないでしょうか。
★★★
母親である私は、田舎町で育ちましたから、市内に私立の中学校は一校だけ。中高一貫教育が始まったばかりで、まだ6年制教育の教育効果がどれほどなのか、わからなかった頃です。
父親である主人は、首都圏育ちです。
同世代ではありますが、すでに、進学塾に行くのが珍しくなく経済的に「普通のお家」の子でも、「頭の良い子」が有名私立校に行っていたといいます。
彼もまた、仲よしの友達が塾に入っていたから、という理由だけで、遊び感覚で塾に行っていたらしいのですが、今ほど、私立中学校志向は強くなく、補習校の感覚で、迷うことなく公立中学校に進んでいます。
★★★
義務教育である小中学校にお金をかけられるのは、お金持ちの子供というイメージがありますが、もうひとつには、公立小学校のなかで(私の通っていた公立校はマンモス校でしたから)何らかの問題を抱えている子供が、逃げるように私立に行くイメージもありました。
豊かな時代のダークサイドに、家庭内暴力や校内暴力がはびこっていた時代です。いじめという言葉も、定着しつつありました。
「お金持ち」、「勉強できる」子供ではなくても特別な学習をしなくても入学できる私立校もあり、事情を持った子どもたちの受け皿になっている状況も、昔からあったようです。
30年前の都会ではすでに、現在の子供たちが、中学受験する理由にかなり近い時代に入っていたということですね。
★★★
その1世代前、今の子供たちのおじいちゃんおばあちゃんの時代となると、高等教育を受けられるのにはやはり、金が必要であった時代です。
教育熱心な親の元で、優秀な子供はよい学校に入り、また優秀ではあるが、学校には行けなかったという人も多い時代です。
今の時代のように、教育を受けられる、また親の私たちも、教育を与えられる場が沢山あるというのは、ある意味とても幸せなことなのに、なかなか感じることもないまま、受験は「戦争」などとぬかしてしまうのかもしれません。
ま、それはさておき。
★★★
戦後間もなくの、おじいちゃん世代とは、少し考え方に開きがあるとして、現在は、私たち世代(40代〜50代)が社会の中心で働いています。
この世代の人が大人になり、大企業の活躍で働き手が全国に広がり、メディアの影響などでも、価値観が全国的に統一されつつあり、今や、中学受験のための進学塾通いは、地方都市でも決して珍しいことではありません。
交通網も発展しましたし、最寄りの大都市までの通学時間も、30年前より、ずいぶん短縮されています。ということは、行ける学校が増えたということです。
全国では、約200校の私立小学校、約700校の私立中学校があります。このうち、約400校が首都圏に集中していますが、阪神、名古屋を中心に、地方都市にも増えてきています。
もちろんすべてが、進学校ではありません。良い教育を与えたいという目的の他にも、たくさんの事情があって私立校が「選ばれる」時代になってきたということでしょう。
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